ハンコック

―――まただ。
また、やっちまった。
あのとき決めたハズだったのに。
二度と亡くさないように、強くなるって。
大事なもんを全部守れるように。
約束を果たせるように。
誰よりも自由にこの海を航海できるように。
だから、２年…我慢したのに。
修行して、強くなって、もう逃げねぇ、って！
覚悟決めたのに…！

ぼくには姉が3人いる。そして悩みがある。
｢姉様〜｣
｢アナベル。どうしたの？｣
ハンコック姉様はしゃがんで目線を合わせてきた。
｢姉様、ぼくも海に出てみたいです｣
｢それはダメです｣
｢えー｣
そう、姉様はぼくが海に出ることを拒否する。
｢ぼくももう10歳です……海に出てみたいです｣

そのきっかけは、ローにとっては些細な、しかし彼女にとっては印象深い出来事によるものだった。
海賊女帝。女ヶ島にて最上位に立つ皇帝にして、その比類なき美しさから絶世の美女と謳われる女。七武海に名を連ねる程の実力を持ち、その実力に比例するかの如く傲慢な立ち振る舞いで他人を見下す悪女でもあるが、その美しさゆえ世界中がそれを許してくれる、らしい。

…少年（おとこ）に対する私のこの想いは最早狂気と呼ばれるものに近いのであろう…。
それはある日の夜の事だった。美しき女は自らに芽生えた感情の答えを思い描いて到達したその女なりの答えを導き出していた…。
自らが寝食をする海賊船の自室から窓越しに船首の方へ視線を向ける。

突然現れたワケでは無い。ちゃんと海という航路を使っていたのだが、その船は俄には信じ難い猛スピードで以ってサニー号に急接近してきたのである。これには見張りをしていたウソップが悲鳴を上げるのは当たり前の事だ。そして何より、その船が大問題だった。甲板に出てきたクルーすら、あまりに突然の船とその持ち主を把握し雄叫びを上げる。
「な、何で七武海がココにいるのよぉおおおおお！！！？」

ーー七武海召集後
「……(終わった)」
目的があって七武海に入ったローだが、召集されて政府の退屈な話を聞くのはヘンに疲れる、そう思っていた
「(さっさと船に戻ろう)」
「ロー。」
「！」
ローが振り返るとそこには同じ七武海のボア・ハンコックの姿があった
「ハンコックか。……なんか用か？」
「……」
ハンコックはツカツカとローに歩み寄ると、手を伸ばしてするっとその頬を撫でた

ここは、とある町。
ある日、『女帝』と名高い絶世の美女であるボア・ハンコックは、走らせていた車中から道を行く愛しい人を発見した。
モンキー・D・ルフィである。
「車を止めよ！！」
こんな偶然があるとは、やはり自分達は結ばれる運命なのだと、例によって勝手に脳内で盛り上がった彼女の視界にはルフィしかいない。

女ヶ島全体に警告の鐘が鳴り響いたのは、かのマリンフォードの戦より二年と少し、麦わらのルフィを約束の地へ送り届けた九蛇の船団が帰港してまもなくの事である。
「何事じゃ⁉︎騒がしい」
海賊女帝ボア・ハンコックがサロメと共に広場に現れると、島の女達はそれまでの危機的状況を一瞬全て忘れる。
「キャー、蛇姫様ぁ♡」
「お叱りになるお姿も愛くるしいぃ〜！」

医者は、便利屋じゃねェんだぞ。
そう腹の中で吐き捨てると、ローは受話器を叩きつけた。
事のいきさつを順に辿るなら、話は数分間に遡る。
女ヶ島を出てから三日ほど経ったであろうか、トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団はいまだ凪の海の中を潜行していた。。

「どーせ集まりゃせんのに、何故わしが行く必要があるんじゃ！」
「駄々をこねるな！何だかんだで、貴様が一番出席してないぞ、ガープ！！」
海軍本部。ガープ中将とセンゴク元帥が何やら言い争っていた。
今日は、七武海を集めた定期会議である。しかも、おつるさんが諸事情により、出席しない。
――海のクズ共に会うだけでも、嫌だというのに・・・。

新しい七武海のメンバーだと連れてこられた相手を見て、男は不覚にも息を呑んだ。
硬直した彼を何と思ったのか、傍にいたドフラミンゴが下卑た笑みを浮かべて「気に入ったのか」と問うて来る。それに否を返しながら、己の背中にじとりと嫌な汗が伝うのを男は自覚していた。
海兵の男たちから向けられた視線の中心で、連れてこられた女は苛立ちと嫌悪を隠そうともせずに立っていた。

ボクの話をするためには、まずは母の話をするのが分かりやすいだろう。
母は強く、美しい人だった。
大の男が何十人で襲おうとも蹴散らし、特別な能力を使える悪魔の実の能力者であろうとも覇気の力で叩き潰す。
母の出身は男子禁制の女ヶ島、アマゾン・リリー。住人は全て女性でありながら、主な収益を海賊行為で賄っているという美しく強い国。

時は大海賊時代・・・・・。
仲間と離れ離れになったルフィは公開処刑される兄エースを救うため、マリンフォードを突き進む・・・。そんな中、ある男もまた、動き出していた・・・！
時はさかのぼり・・・ボア・ハンコックによってルフィが助けに来たことを知らされたエース・・・。自分のせいでルフィを死なせたくない・・・！

俺の父は武術の達人にしてマリージョアに務める医者。サイファポールの中でも非常に重要な地位にいて、具体的な仕事内容は妻や子どもにも話せないらしい。文武両道で仕事もできる。完璧超人というやつだ。俺は父のようになることが夢だった。父は「俺の真似をするな」「医者などなるものではない」と何故か否定的だったけど。と言っても武術については積極的に教えてくれた。

「んー。どうすっかなぁ。」
俺はソファーに寝そべりながら唸っていた。
なんせこれからの人生を決定づけることだ、慎重に決めなければならない。
「いろいろ思いつくけど決められないな。あ、コーヒーおかわりお願いします。」
ここにきてから７杯目のコーヒーの催促を、俺が寝ているソファーの前にある机、それをはさんで置いてあるソファーに座っている男におねがいする。