【ワールドトリガー】恋愛系のSS・二次小説まとめ15選！名作・人気作からおすすめ作品を厳選しました。

ひょっとしたら、窓の外が既に暗くなっていることにすら気づいていないのではないか。
傍目から見れば、彼はそれほどまでに、画面と資料に集中している。
「──三雲くん、三雲くん」
「あ……はい！」
呼ばれたことにも、少し遅れて反応する。
「そろそろ、研究室閉めるけど。どうする？」
「すみません、切りのいいところまでまとめておきたくて」

生駒「なぁ、迅って女の子と自分が付き合うてる未来とかも見えたりするんか？」
迅「いきなりだな。このスーパーエリートは引っ張りだこなので恋愛なんてしてる暇ないぜ？」
生駒「いやでもつまりは見えるってことやんな？うーわ、ごっつ羨ましいわ。実質ハーレムみたいなもんやんか」
迅「あくまで未来は未来に過ぎない。おれの体は一つしかないからそれはちがうと思うけどな」

「迅の手作りチョコが欲しい！」
いつにもなく眩しいくらいの爽やかな笑顔で目の前の男は言った。
目の前の男こと嵐山准はボーダー本部所属のボーダー隊員でありA級に属している。A級5位という実力を持ち自分の隊をも持つ。ボーダーの顔としてテレビに出るなど今では世間の注目の男だ。
そんな男が
「チョコ、が欲しい？」
「あぁ！明日はバレンタインだからな！」

4月。世間では春になり新生活を迎えてフレッシュな空気に包まれている中、迅が風邪をひいた。
本人曰く、未来は視えていたけど確定していることに気付いた頃にはもうどうしようもなかったようだ。だってウィルスは近界民のようぶった斬ることはできない。入り込んでしまったものはもう仕方がない。

「折り入って相談があるの」
のどかなお昼のカフェテリア。
19歳の気の置けない同期が一堂に会し、顔を寄せ合う様子は周囲から見ても尋常じゃなく目立っていた。
未成年とはいえ19歳はこの組織において年長の部類に入る。ほとんどメンバーが隊長などボーダーの重要な位置についており、一目置かれている。

根付さんに遊真くんと私が呼ばれたのは、４月の終わりごろ。
桜の木は完全に花を落とし、若葉が一斉に青空に両手を広げるかのように、力強く伸び盛っていた。
林藤支部長経由で私たちを呼び出した根付さんは、会議室のデスクに軽く腰掛け、少し斜めに体を傾けながら、手に持った紙を読み上げる様に私たちに話しかける。

お気に入りの赤いカーディガンを着るには暑すぎる季節が今年もやってきた。今にも雨が降り出しそうなどんよりとした空を見上げ、小南は苦い顔をする。校門の前で友達と別れ、チャームポイントである癖毛をユラユラと揺らしながら小南は玉狛支部への道を急ぐ。
夏生まれというのもあって、夏が嫌いなわけではないが、変わりやすい天気には毎年文句を言っている気がする。

模擬戦3本先取。ストレートで王手をかけた。
激しくやり合い、上半身を抉られたと認識した時にはこの状況だった。あの瞬間ベイルアウトしたのだろうか。
しかしベイルアウト先はいつもの黒いマットではなく、見渡す限り真っ白で、四角く無機質な空間。
外につながる扉らしきものもトリガーもない。

日本は海に囲まれているから、地面は他の国とつながっていないけれど、空はつながっていると気がついたのはボーダーの所用もあって近界に戻ってからだった。
もちろん遊真は日本にいるあいだ、一度だって他の国へ行ったことなどない。ただ初めて海を見て、その先にもまだ世界はあるんだよと隣にいる千佳に言われたとき、ひどく感動した。目の前には海が広がっていて、たやすくそこを

なんてことのない、いつもの日常だったと思う。唯一ちょっと違うことと言えば、晩御飯が2人きりなこと。それもさして珍しいことと言う程でもなく、少人数だからごはん作るのめんどくさいと外食に連れ出されることも、たまにあった。それが居酒屋になることも、小南が20歳を超えてからは、ままあった。

あたしは時々透ける。まず体が透けて次に意識が透けているんだかいないんだかよくわからない状態になる。そういう時あたしの存在は誰にも気づかれないで消える。なのにこの前、透けてるはずのあたしを確かに見て、「おい小佐野とやらお前、なんか透けてんぞ」と言ったのは、すわさんという人だった。

カップルに侵食されてしまった特別棟の空き教室を後にしながら、私は学内を歩き回っていた。あそこを見つける前は教室棟の空き部屋で時間を潰していたがそこは見た目の派手な女の子たちの溜まり場にもなっていたためいつも賑やかで落ち着ける場所、とは少し違った。彼女たちは私が部屋の隅っこに居ても何か言ってくることはなかったが、流行りの服や彼氏の惚気、友人の愚痴など絶えず移り変わる話題が嫌でも耳に入ってくることが耐え切れず、私の方からその場を去ることにした。

裏庭で倒れていた、女性の近界民がくすりとこう言った。
「迎えが来るまでに匿ってくれたら、あなたと、あなたの親族を捕獲対象から外す」
三門市の住人にとって喉から手が出るほど欲しい特権と、三門市の住人だからこそ受け入れてはならない条件を提示されて、青年は悩まずにこう言った。
「わかった」

4年程前にいきなり異世界を繋ぐ門ゲートが出現し、そこから後に【近界民ネイバー】と呼ばれる怪物が現れ何千人もの人々が亡くなり、行方知れずとなった。軍事兵器を使っても傷一つつかない怪物を前に都市の壊滅は時間の問題だろうと思われていた時。自らを【ボーダー】と名乗る者達が現れた。ボーダーと名乗った彼らは傷一つ付けられなかった怪物を次々と倒していき、三門市は壊滅を免れた。

「この人、いい……」
「は？」
確か、小学生の頃だったと思う。
夏休みの宿題をやりに幼馴染の家に行っていた時、偶々付けたテレビで、とある記者会見が行われていた。
『ボーダー』
境界防衛組織
その時は、この街を守る正義の味方ぐらいにしか思っていなかった、そんな組織に新しく入隊した二人の少年へのインタビュー。