【ワールドトリガー】オリ主SS・二次小説まとめ15選！名作・人気作からおすすめ作品を厳選しました。

昔から、外は苦手だ。 藤崎沙綾は、今まで音楽を流していたイヤホンを耳から抜いた。そろそろ出発しなければ、時間に遅れてしまう。 見慣れたヘッドホンを手に取る。 沙綾はふと、ソレをもらった時の事を思い出した。 人よりも優れた沙綾の耳が音を察知するのは、他の人よりも大分早かった。 しかし沙綾は、工事でも始まったかと気にも留めなかった。

──始めは、大きな地震だと思った。 おなかに響くような地鳴りが遠くから迫ってきた、と思ったら大きく家が揺れた。 「きゃあ!?」 座っていたキャスター付きの椅子から落ちて、したたかお尻を打ちつける。 しかし、痛がる暇もなくまた大きな揺れが襲った。階下から名を呼ぶ父の声がする。

霧島透。それが彼女の名前である。 先に言えば、霧島透はボーダーとなんの関係も持たない一般市民だった。まず彼女の住居だって三門市ではない。ただ六頴館がちょっと遠いものの、偏差値がちょうど良さそうだった。もちろんボーダー隊員にスカウトされるなんて波瀾万丈なこともなく三年間を終えている。そして、進学先は三門市立大学。

「行ってきます。」 金曜日、烏丸京介は学ランに身を包み玄関からリビングにいるであろう母親に向けて挨拶をする。 扉一枚挟んだ部屋の中から、いってらっしゃーいと少し声を張り上げた母親の声が聞こえた。 父親もすでに仕事に向かっており、ほかの兄弟も各々学校に行っているため、残った家事を片付けているのだろう。

「何これ？」 嫌な勘を辿って米花町に着いた流柚歌は、比較的に高いビルに登って街を見渡し、顔を顰めた。 「何何？やばい？」 流柚歌の少し後ろに立つ夏希は、スマホを取り出しながら尋ねる。 「さっと見渡して、嫌な感じがする所が四ヶ所ある。」 「四ヶ所とか多っ！」

目覚ましの音が勢いよく鳴る。しかし、俺はそれを止めるだけ止めまたベッドの中に潜り込む。しかし、その抵抗さえ一瞬でなくなった。 小「起きなさいよ、真。なんでアンタなんかのために毎朝起こしにこないといけないわけ。」 真「桐絵〜。そんなこと言わないでよ。」 小「早くしないとレイジさんの朝ごはんなくなるからね。」 真「は〜い。流石に朝ごはん抜きは生きていけない。」

高校一年から二年に上がる間の春休み。 俺は新三門駅のホームにて、都心部方面へ向かう電車を待っていた。 線路沿いの街路樹から桜の花びらが風に乗って、ホームまで舞い降りてくる。 綺麗だなぁ、やっぱり今の時期は桜だよな。 俺は電車が到着するまで、束の間の花見を楽しむことにした。 ……したんだが。

街中が破壊の渦に巻き込まれている。 巨大な白い身体の怪物が、家を壊し瓦礫を砕き人を喰らい斬り撃ち穿ち殺す。 地獄――そうとしか表現できない。 「――んだよ、これは……」 呆然と、そう呟くことしかできない。今朝は普通に目が覚めて。昼は幼馴染に勉強を教えてもらい――何時もの日常。

ハロー神様、元気してるか。 いきなりこんな電波を送られても困るだろうから、しっかり自己紹介をしておこう。 俺の名前はノスタルジア、古い名前は■■■。検閲がバリバリ働いてるから記憶の片隅にでも追いやって、今の名前だけ覚えてくれればいいさ。 因みにノスタルジアってのはギリシャ語で望郷を意味するらしい。

どの国にも、どの街にも、悪性の人間は存在する。 地球上で最も治安の良い国候補を10ほど挙げても、その中に『夜道を女性が一人歩きしても全く問題の無い国』というものはない。 どこにでも悪はあり、どこにでも正義はある。 社会の善悪は、濃淡で作られるまだら模様だ。 「ひぃぃ……だ、誰か……」

穏やかな日々の中で、今日もまた声が響き渡る。 「待ちなさい航！」 「誰が待つか！」 ドタドタと建物の中で鳴る足音。それを1階で聞いている大人たちは「またか」と笑う。 「あんたまたあたしを騙したわね！」 「騙される方が悪いんだ！　小南も学ばねーな！　バーカバーカ！」 「なっ！　……っ、だれが……だれがバカよ！」 「ぐえっ！」

PM2:00、天候は晴れ。三門市某所、警戒区域内。 界境防衛機関『ボーダー』の隊員4名が、防衛任務のために集まっていた。 「――はーい、それじゃ点呼取りまーす。辻ちゃん」 「はい」 「カゲ」 「…………」 「日向坂さん」 「は、はい！」 「うん、誰かさんと違っていい返事だ。それじゃひゃみちゃん、サポートよろしくね」 『了解』

影浦静雅。 それが彼の名前だった。 目付きは悪いし、友達はいない。家庭環境は最悪。そんな彼はパジャマ姿─と言ってもダボッとした黒のパーカーに黒のズボン─で恥ずかしげもなく街を歩いていた。

PCの画面が薄暗い部屋の中に揺れる。 広い部屋の中、１つの席に腰掛けた女性が酷く隈のついた目を擦りながら作業を続けていた。 ｢あー、終わんないよー！｣ １人しかいない仕事場で女性は声を上げる。 ｢んっとー？この資料に関連したものは…｣ 席を立ち上がって棚に向かうとぐらりと頭が回る。気が付いたら床に体を打ちつけていた。

霜月の頃その１ くもり 大学生になって半年ほど立ったある日、唐突に母親がこんなことを言ってきた。 「ＹＯＵボーダー入っちゃいなＹＯ」と。 もちろん俺の母親はＪから始まる事務所の社長でもないしボーダーの関係者ではない。 何故かと俺が問えばどうやら妹がボーダーに入りたいと言い出したらしい。