ヤンデレ

　　　　　　　ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

『おめでとう！！！』『おめでとう！！！』

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

『おめでとう！！！』『おめでとう！！！』

———教会に拍手と祝いの声が鳴り響く。甘奈も無心で手を叩いていた。

今日はプロデューサーさんと冬優子ちゃんの結婚式だ。

めぐるちゃん、咲耶ちゃん、恋鐘ちゃん、愛依ちゃん、千雪さん、透ちゃん、にちかちゃん……

283プロのメンバー全員が揃うのは久しぶりだ。皆、おしゃれなドレスを着て……大人っぽくなったなぁ。

たぶん、わたしはしあわせだ。

「プロデューサーさん！　早く早く！　靴履くっす！　おいていくっすよ〜！」

「…？　あはは、そんなに泣かなくても大丈夫っすよ。おいてかない、おいてかないっすから」

プロデューサーさんがわたしがしあわせになるたくさんのことを”教えて”くれたからだ。

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

『死ぬ』

ぴこん、ぴこんと心配になるほど不規則に烈火の如くその電子音は鳴り続ける。

「はぁ…」

この安眠を妨げる、不快な電子音が鳴り始めたのはいつ頃だっただろうかと思い返す。

三峰「えー！いつの間に？！」

魔美々「やるじゃないですか〜」

P「おう！ありがとうみんな！」

咲耶「　(⊙_⊙)　」

咲耶…なんでこっちをじっと見つめてるんだ…
どうしてそんなにガチガチになってるんだよ…

魔美々「Pさーん。お相手はどんな人なんですかぁ？」

魔美々がニヤニヤしながら聞いてくる。
樹里達全然関心なさそうだったから、嘘でも俺の恋愛事情に興味持ってくれて嬉しい。

P「そうだな。仕事で出会ってな、凄く理解もあって優しい人なんだ」（大嘘）

私はいま、決して叶わない……、叶えられない恋をしている。
好きなあの人には奥さんがいて、子供がいて……、幸福な家庭がある。
彼が幸せそうな顔を浮かべる度に、会ったこともない人を恨めしく思ってしまう。
なんで彼の隣に、私はいないんだろう？
私は貴方のことが大好きなのになぜ？どうして？
分からない。なんで、私を女として見てくれないの？

拝啓

お父様、お母様、いかがお過ごしでしょうか。

大学を卒業し、芸能事務所283プロダクションの新人プロデューサーとして都心に引っ越した私ですが、今は元気に過ごしています。

新人として入社して数ヶ月、ようやく憧れていたアイドルのプロデュース活動に携われる事になり、とても嬉しく思っています。

普通なら、私の方からアイドルになる素質がありそうな女性を見つけ、スカウトするのが私の仕事であります。

しかし、私が今回初めてプロデュースするアイドルは向こうの方から直接事務所に訪れ、志望をしてきました。

俺は２８３プロに勤めるプロデューサーだ。

入社してまだ数ヶ月程度しか経っていないが、なんとこんな俺でも実際にアイドルをプロデュースすることになった。

そのアイドルというのが、今俺の目の前に立っているジャージ姿の彼女——桑山千雪さんだ。

彼女と出逢ったのは約一週間前。

俺がアイドルのスカウトのために街に繰り出していた時、偶然彼女に声を掛けられたのだ。

曰く『ボタンが取れかかっているのが気になった』らしく、彼女は手慣れた仕草で俺の袖のボタンを見事に直してくれた。

実際に話してみて感じた抱擁力、優しげな雰囲気に惹かれた俺は彼女をアイドルにスカウトしたのだった。

「次の休みさ、プロデューサーと同じだよね」

事務所のソファでスマホをいじっていた透は、そういえばと言った調子で俺に尋ねた。

「来週の土曜日か？それなら確か透に仕事の予定はなかったし、俺も一応は休みかな」

「なに？一応って」

含みを持たせた表現に、彼女は素直な疑問を呈した。

「いや仕事が終わらなかったらそのまま休日出勤ってこと」

「大変だね。社会人って」

透は同情するような声音で小さく笑った。

P(終電超えるの今月でもう何回目だ……)

P(アイドルの皆とコミュニケーションを取ってこの業界の人達と触れ合えるのは楽しい)

P(彼女達が輝いて活躍していく姿を見るのはプロデューサー冥利に尽きる……)

P(だけど)

はづき「……」ｶﾀｶﾀ

P(20人を超えるアイドル達のスケジュール管理や営業……、流石に社長とはづきさんと俺の3人でやっていくのは大変だな……)

P(今目の前で働いてくれているはづきさん、事務以外に俺と一緒に営業見に行ってくれたりトレーナーもしてくれてるし)

P(社長は社長で俺じゃ出る幕のないお偉いさん方との付き合いや経理、時にはこっそり俺の仕事を手伝ってくれるし)

ーーMorning

P「最近眠っても疲れが取れないな……」

ーーガチャン

凛世「プロデューサーさま……おはようございます……」

P「おお、凛世か。おはよう、今日も一番乗りだな」

凛世「はい、今日もまた……貴方様のお顔を見ることができ……幸せでございます」

P「ははっ、俺も凛世が嬉しそうで何よりだ」

凛世「ですが、プロデューサーさま……」

P「ん、どうした？」

凛世「あまり……顔色が優れないご様子……」

はーい、よーいスタート（棒読み）。

アイドル育成ゲームに見せかけてただただアイドルとイチャイチャするギャルゲーのRTA、はーじまーるよー！

はい、今回はPC版『IDOLM@STER－Next Stage!!!』の283プロルートのRTA実況です。

今回実況するアイマス、通称「ネクマス」では各プロダクション毎に様々なアイドル達と交流、育成をしながらトップアイドルを目指す、という内容ですが、PC版ではスマホ版に比べて非常に高い自由度の影響で一切トップアイドルを目指さない、という動きも可能なほど何でも出来るゲームです。

やろうと思えば一生甜花ちゃんをお休みさせ続けることも出来ます。やったね甜花ちゃん！お休みが増えるよ！

運命と言うのはこういう事を言うのだと私は思った
昔小さい頃に公園のジャングルジムで一回り上の男の人と遊んだ時に約束をしたのは良い思い出だ
その時の顔も声も今まで忘れた事等一回もない程だ

P「コレから君達を担当する事になったPだ、今後ともよろしくな」

忘れる筈がない
少し成長したけど私の好きになった彼の顔と声が聞こえた
その瞬間に私の時は動き始めた気がする

あさひ「お疲れ様っすー！」
いつものように283プロダクションの扉が開き、元気な挨拶とともにあさひがはいってくる。
P「おはようあさひ。今日も元気だな。」
あさひ「プロデューサーさん！昨日町で面白い人みつけたっす！。」
P「またいつもの、人間観察か？どんな人だったんだ？」
あさひ「それはっすねぇ。」
そういってあさひは、Pの背中にもたれかかり、腕をPの首の前に出して交差させた。
P「あ、あさひ？」
たどたどしい雰囲気を醸し出しながら、Pはあさひに問いかけるように、名前を呼ぶ。

雛菜知ってるよ〜♡

プロデューサーが雛菜たちのために毎日頑張ってくれてること〜。

雛菜知ってるよ〜。

そんなプロデューサーに皆夢中だってこと〜。
透先輩はずっとプロデューサーに熱い眼差しを向けてるし〜、いつも怒ってる円香先輩もプロデューサーと話す時は嬉しそうだもん〜。
雛菜には分かるよ〜♡
他のアイドルも皆プロデューサーが大好き〜。

もちろん雛菜もプロデューサーが大好き〜！
プロデューサーのことを考えると幸せ〜♡な気持ちになれるんだ〜♡

灯織とLIVEの後、ハグをしてから少したった。
あれから更に灯織との距離が近くなり、
LIVEや仕事の後は決まって、
ハグをせがまれるようになった。
そんなある日の事だった…

その日Pの机の上は書類や計画書で散乱していたため、珍しくPは事務所のソファーに座りながら、仕事をしていた。
灯織「お疲れ様です…」
P「おっ灯織お疲れ〜って灯織今日休みじゃなかったっけ？。」

ねえおかしな事言ってもいい？ この問い掛けに勿論！と答えてくれる人だけ聞いて欲しいんだけど、私には『特殊能力』というモノがある。 うん。自分でもよく分かってないから安心して欲しいんだけど、鬼とか血鬼術とか全集中とかあるこんな世の中だから許して欲しい。 じゃあ、もっとおかしな事言ってもいい？

第一話 始まりの呼吸 ？？？「…………ろ…………………きろ……………………おーきーろ竜太郎」 竜太郎「なんだよじいちゃん。」 いつも夜開けたばかりに起こしてくるじいちゃんこと清王藤吉郎だ。 藤吉郎「いつもどうり山に走りにいくぞ。」 何が好きで山に走りに行かなくちゃいけないんだろ。

-蝶屋敷・雨宮時雨の部屋- 　 　 時「げほっ…げほっ…それじゃ俺の担当区域の巡回お願いします冨岡さん」 　 冨「あぁ…任しておけ」 　 時「すみませんっ…げほっ…柱の俺が風邪なんか引いてしまってっ…面目ないでっ…げほっげほっ

　 　　――――光轟く。 　 　 「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ！！？」 　 　 　今回の鬼は血鬼術を使うとの情報があった。油断もなく、人数も居た。 　しかし、それを覆すほどの力を持ち合わせていた。 　 　気付けば立っているのは自分だけで、他の隊士は皆倒された。 　 　 「けひひ、お前らは俺の保存食だぁ」

部屋の外に人影が映る。 「桔梗様、お時間です」 俺は手元から視線を外して顔を上げた。 人影は微動だにせず俺の反応を窺っている。 俺の口から自然と溜息が零れた。 というわけで皆さん初めましてこんにちは☆ え～、おっほん。……失礼。 いきなりで申し訳ないが、俺の名前は桔梗。 綺麗な綺麗なお花の名前をしているが、実際は少し線が細いだけ───ヒョロイとかじゃない。

＜私、ここで宣言します。駄目女を卒業します＞ 社会人たるもの、一度口にしたことは有言実行。私は早速、自身のどこが駄目女だったのか今までの言動を省察してみることにした。 いつも朝は炭治郎に起こしてもらわないと起きれないこと、アイロンがけをしたことがないこと、洗濯機の使い方が分からないこと、

最終選別当日 零達は藤襲山に来ていた。 「色んな人がいるな。」 「本当だね。」 そう言いながら人を観察していると、 「あ！あの人って時沢さんじゃない？」 「えっ？時雨？……本当だ。」 時沢時雨とは、霜北零の従者(今で言うボディーガード)だ。時沢は、鬼に霜北両親が殺されてから、行方をくらませていたため、居場所が分からなかったのだ。

永遠に続くと思っていた幸せは、たったの十分足らずで失われる。 そこまで裕福な家系ってわけじゃないど、僕は父さんと母さんがいる家が好きだった。 二人のことはもっと大好きだった。 けれど、雪が降るあの日に、僕は大切な家族を失った。 雪が降る冬の季節に突然、見慣れない服装の男性が家に上がりこんできた。

街の西外れにあるひっそりした宿屋「無託」に四人の鬼殺隊士が佇んでいた。 夕暮れ時の、夕日が街全体を照らす頃に。鎹烏の情報ではこの宿屋は頻繁に宿泊客が失踪する事件が起きているらしい。 その原因は鬼が潜んでいるからと鎹烏は指摘する。 本当に鬼がいるなら、これ以上犠牲者を増やさない為に鬼殺隊である錆兎達が刃を振るう必要がある。

師範との修行は朝の走り込みから始まる。 走り込みの時間は、早朝五時から昼十二時までの七時間を休まずに全集中の呼吸を常に持続させ、途切らせること無く走り続けた。 失敗すれば師範に木の棒で腹に突きをお見舞されていた。 全集中の呼吸をしながらする走り込みが終わると、お祖母様が作ってくれた昼餉を食べる為に一時間休憩をもらい休憩が終わると次はまた全集中の呼吸を常にしながら木刀素振りを5000回して、

泣いていた。 　 　 　 雪が止まない夜の日に。 　 　 　 少年は、泣いていた。 　 　 　 　 身は血に塗れ、左手に熱く香る刀を雪が積もる地面へ引きづりながら何とか歩いている。 何故、泣いているのか。 　 少年自身にも分からない。 　 　 息を吸えば凍てついた空気が肺を満たし、呼吸が辛くなってくる。 流す理由も分からない、流れる理由も分からない涙が空気に飛ばされて積もった雪を湿らす。

「さぁ、今日から機能回復訓練です。ちゃんと朝御飯は食べましたか？」 　 　 　今日の朝御飯もアオイさんお手製でしたので、美味しかったです。たくさん食べました。 　 　 「っ！そ、それは何よりです！」 「…………」 　 　 　ん？ 　カナヲ？どうかし……あぁ、そう言えばお味噌汁は味がいつものとは違ったけど、あれはカナヲがやってくれたの？

いっけなーい！転生！！転生！！！ 私、鈴木雪子ゆきこ！ ひょんな事から鬼滅の刃へ転生☆ え？私がいま、何をしてるかって？ ヤンデレから逃げてるんだよぉぉおお！！！！ どこで上げた好感度！？ どうしてこうなったヤンデレ化！？ 勝手に好感度とヤンデレ化が始まってしまった 転生女子の転生ライフ！！

「ウワーーーーーッ任務行きたくないよォオォォオオオオ！！！！！助けて！！！！お願い助けて！！！！！」 「そればっかりは私にはどうしようもないなぁ」 「うっうっ……やだ……どうしてこんなに世界は俺に冷たいんだよぉ…………」 「ほら泣くなー。今回は私も一緒なんだから頑張れ」 「……君がいるなら、頑張る……」 「そうそうその調子」 「あ、そういえばさ」 ──あの時一緒にいた男、だれ？

鬼舞辻無惨に幽閉されてどれほどの時が流れたのか、最早数えることすら億劫で何も考えずに天井の染みを数えていた。彼は無為に彼は身体を暴くことは決してしなかったが、自らの独占欲を満たすように赤い噛み痕を残す。彼から与えられた絢爛な着物の下の柔肌には彼の所有物である証が散らばり、時折ジクジクと痛みを残す。特に帰りたいと呟いた日には手酷い折檻をうけた。

俺の名前はイブキ現役の中学生だ。
今から自分の特徴を言っていくね。
俺は自分で言うとするなら、
別に身長が高くて、イケメンで、運動神経がめちゃくちゃいいという訳でもない。
身長はどちらかと言えば小柄。
顔は普通ぐらいかな？
運動神経はそこまで良いとは言えないかな？
ただ走りは人より速い自身はある。
一応これでも大会は出たことある。

それはいきなりだった。

やよい「発案ッ!!たづな、エレナトレーナーに契約解除ドッキリを仕掛けようじゃないか!!」

たづな「いきなりどうしたんですか理事長?ちゃんと仕事してくださいね??」

書類の山を整理しながら理事長室の椅子に座っている理事長と呼ばれた少女が突如机を叩き、横に立っている秘書 駿川たづなと呼ばれた人物が驚きながら理事長を見る。

「これより第1回トレーナーだけによる会議を行う」
一同「よろしくお願いします」
この会議はトレーナー同士で情報提供をする会義である。
「今回司会を務める○○だ。あらかじめ言っておくが今回の会議は全トレーナーが参加している訳ではない覚えとくように。早速だが見る限り欠席者が何人かいるようだ。誰かわかる人はいるか？」
「はい。まずライスシャワーのトレーナーは今回来れないと」

正確には『担当ウマ娘の好意を数値化するメガネ』さ。我ながら面白いものを発明してしまったものだよ、はっはっは！」
「なにわろとんねん」
朝５時、まだ朝日が頭すら出していない時間帯。
いきなりタキオンから電話が入り、彼女のラボに呼び出されたと思ったらこれだ。

日本ウマ娘トレーニングセンター学園。
全国から選りすぐりのエリートウマ娘が集っている此処では、個性的な面々が集まっているだけあって突飛な出来事を目の当たりにすることも少なくない。
中等部から入学したとある少女もまた、例えば広場のど真ん中で朝から夥しい数のドラゴン花火が炸裂してとうとう打ち上げ花火が上がりだしても「臭い」「うるさいなあ」と思い、後始末と犯人確保に奔走することになるだろうスタッフに同情しながら自身の教室に向かう程度には毒されている。

実況「スタートしました！みんなそろっていい出だしです！」
実況「200m進んでハナにいるのは4番○○○○○○」
実況「その後ろにいるのは2番○○○○〇」
解説「少し掛かっているようですね、落ち着きを取り戻せればいいのですが」
実況「後ろから5番目の位置にいた！1番人気『○○○○○○○○○』順調に運んでいます」

トレーナー(以下トレ)「皆さん、ご無沙汰しております。愛が重いウマ娘専属調教師のトレーナーと申します。今回攻略する愛の重いウマ娘はトウカイテイオー！
ウマ娘の2次創作ではなぜかしっとりとしていることが多い彼女。今回はトレーナーなら誰でも簡単に攻略できるオーソドックスな方法でしっとりテイオーを攻略していきます。まだ学生の彼女は、私の攻略に耐えることが出来るでしょうか？

「サイレンススズカに故障発生！故障発生です！」
あの日、私の脚は折れてしまった。第4コーナーの大ケヤキで速さに身体が耐えきれず折れてしまったと言われた。
でも、折れてしまっても希望があった。私の、大切な、大切なトレーナーさん。彼が真摯に寄り添ってくれてリハビリも順調に進み、絶望的とまで言われていたレースに出ることが出来たから。

皆の衆、始めまして｡いきなりだが俺はウマ娘の世界に飛ばされ、成り行きでトレーナーになっちまった｡
まぁこうなった経緯を猿でも分かるように説明してしんぜよう。つまらない毎日を泥のように沈んだ気持ちでドロドロと過ごしてた俺、ある日ひとつのアプリに出会う。
そう、何を隠そう「ウマ娘 プリティダービー」である。そこからはもう沼にハマった。楽しかったです｡魅力的なキャラが多すぎてもうやばい(語彙力)

爽やかさもクソもない生暖かくなった初夏の風が吹き抜ける夕暮れ時。
そんな中、オレは何度も急傾斜な坂道を往復ダッシュしているウマ娘を眺めている。
そう、オレは有望なウマ娘を輩出する超名門であるトレセン学園の一トレーナーである。オレがトレーナーを志したきっかけはただひとつ。
……かわいい女の子の苦痛や苦悶で歪む表情を間近で見るのがたまらなく大好きだからだよお！　そこに耳や尻尾がついていたら尚のこと最高！　フゥハアアアハハッハッハ！

少年は走るのが好きだった。
日差しを浴びて、風を切って、大地を蹴り上げる感覚がなにより好きだった。
朝起きて小学校へ行く前。放課後は日が暮れるまで。休日はリュックサックにおむすびとスポーツドリンクを詰め込んでひたすらに走り続けた。
数少ない友人からは「君はウマ娘でもないのに何故そんなにも走るのが好きなんだい？不可解だよ」と問われたことがあったが少年は答えられなかった。その問に対する答えは彼自身、まだ探している最中だったのだろう。

「トレーナー、なんだその顔は？わざわざこの私が自ら出向いてやったというのに。相変わらず汚い部屋だな。やはり私がいないと貴様は生きていけないのだ。…私も人のことは言えないがな」
目にクマをつくり、土に汚れ、性格を表すかのようにまっすぐ切りそろえられていた髪はボサボサになっている。かつての栄光を知る人が見れば皆驚くようなその姿の中で、眼だけが爛々と瞬いている。
堪えきれないといった様に靴を脱ぎ捨て抱きついてきたエアグルーヴを受け止めながら、どこで間違えてしまったのか、男は一人思案した。

「………………」
「………………」
トレーナー室にて。スズカとのミーティングも終わり、私はいつものように仕事に取り掛かっていた。
……スズカはいつもならそのまま走りに行ってしまうのだが、今日は何故かトレーナー室に残ったままだ。
カタカタとパソコンのキーボードを打つ私の指を凝視している。

シンボリルドルフは緊張していた。
レースの前ですら今ほど緊張しないだろう。副会長のエアグルーヴに淹れてもらった紅茶に何度も口をつけ、ソワソワと周囲を見渡す。
それは他の生徒会メンバーも同じだった。
レースの強さにしか興味を示さないブライアンも無言のまま座ったり、立ったりを繰り返し、女帝の名を持つエアグルーヴも書類仕事が手につかない様子だ。

「がぁぁぁ！また運ゲを外したぁぁぁぁ！！」
ウマ娘RPGはあの大人気アプリゲームの派生作品である。
待望のオリジナルキャラクターが作成可能になった上、恋愛に特化したシミュレーションパートではトレーナーとウマ娘だけではなく、ウマ娘同士の百合も実装されるなど多方面へのアプローチを強めている。
そして何より、本作のレースパートはアクション要素を満載した手に汗握る展開が多数待ち受けており、一般プレイヤーはおろか一部のRTA走者や視聴者からも絶賛される屈指の鬼畜ゲーとして有名になった。