鬼滅の刃

これは、夢。
悪い夢。

――――――そう。
ただの悪夢…

でも。
これは、現実。
紛れもなく、今、しのぶの身に起こっている事は現実なのだ。

「へへへ。　こんな上物、久々だぜ」
「俺達も、あやかりたいね～」

下卑た男達の嘲笑の声。

「ねぇねぇ。冨岡さん」
今日もつんつんと彼の背中をつつく。これが私達の挨拶がわりだった。2年前に彼が柱になり、同僚として頑張ろうと挨拶をしようとした。のに、彼は『俺に構うな。俺はお前達とは違う』と言ってすぐどこかに行ってしまったのだ。そこで私は理解した。

彼女の話が耳に入ってきたのは、柱になって、割とすぐのことだった。
・僅わずか半年で最終選別を通った女の子。
・噂話はあまり当てにはならなかった。凄まじい膂力りょりょくに大柄で、中身は殿方じゃない？ と、尾鰭おひれが付いていた。

何の変哲もない自転車を漕いで十分。三階建ての小綺麗なアパートに到着した。
駐輪場の空いているところに「失礼します」と心の中で断り、自転車を押しこむ。カシン、と鍵を締めると、私はかごの中のエコバックを慎重に持って階段を上った。
二階、階段を上って手前から二個目の扉。２と２。あの人の誕生日も、２と２、を足して４。２と２をかけても４。
つまり、２、２、４。

これは今日の午後の講義で使うプリントのコピー、それからこっちはミニレポート、図書館から届いていた他大学の論文は三本、事務の方から来年の研究室費用について連絡がしたいという電話も入っていたから折り返してもらわねばならないし、アメリカの大学の教授からのメールに返信するようにも伝えなくては。

春の風に揺れる朧月のように、とろりとした笑みを浮かべて、胡蝶しのぶは蝶屋敷の玄関に立っていた。珍しく鼻歌を奏でている様子からして機嫌がいいらしい。ふらふらと左右に身体を揺らしながら、彼女は蝶屋敷の奥へと消えていった。

空に、シャボン玉がぷかぷかと浮いていく。ひとつひとつ、浮いていく。

「………」

そして、それをただただボーッと縁側に座り込んで、眺める。

次に何をするか、何をしたいかなんて考えないし、考える必要も無い。ただ空の色を映す宙を舞う球体の向こうを見つめるだけ。

「あ、いたいた！ カナヲ！」

「知ってる？冨岡くん。世界にはゴリラって言う動物が居て、群を形成して手先が器用で、頭が良くて仲間意識が強くて優しい生き物が居るのよ。」
　
「…そうか」
姉さんと冨岡さんが何か話している。
　
「つまり、胡蝶しのぶはゴリラということか……(薬学に通じて人望も厚い柱の妹ということで首は切れないが強いぴったりだな)」
「だれがゴリラですか！！」ゴッ

昔から、姉は私に冷たかった

姉と言っても、カナエ姉さんは優しかった

でも、あの子が来て

カナエ姉さんが亡くなって

そうしたら

いつの間にか

私の居場所は

ーーーなくなっていた

ーーー数年前ーーー

(名前)「お前、カナエさんになんてことを‥」
？「んー？君はー？もう少しでそこの女の子を喰べるとこだったのに。」

(名前)「うるさい！うあああああああー！」

？「んー、まだまだ荒削りだねえ。でもとっても可愛いからもっと強くなるまで生かしといてあげる。」

血気術ーー蔓蓮華

キメツ大学附属病院

『俺のオペん時は、おまえが担当な！』

オペの腕はピカイチのイケメン外科医と、

オペ室ナースの

恋物語です。

一般隊士が夢を見た。

大切な人は笑い狂い、何も守れなかった夢。
後悔しない、したくない。

君の笑った顔は、もう見たくない

たった一人の少女の心
それだけを守る為に強くあった男のお話。

これは、日本一慈しい鬼退治などでは無い。

身勝手で、自分勝手で、残酷で、それでも運命に抗った、青年のお話。

「カナヲ～！ 炭治郎さん来たよぅ！」
・玄関からアオイの呼ぶ声がして、
「はーい！」
・カナヲの明るい声が答えた。
・あの戦いから半年。
・未いまだゆっくり振り返る気持ちの余裕は、カナヲにはない気がしていた。それでも、日々は弛たゆみなく過ぎていく。

鬼殺隊の中で、最も位の高い十名の剣士。その名を━━━━柱

水柱━それは、誰よりも冷静に判断し、鬼を断つ者

蟲柱━それは、誰よりも軽やかに舞い、毒を刺す者

音柱━それは、誰よりも派手に戦場を駆ける者

霞柱━それは、誰よりも剣技の才を持つ者

風柱━それは、誰よりも鬼を滅する執念を持つ者

「不審者？」
　昼休み、一学年下の栗花落つゆりカナヲに会った為立ち話をしていると、物騒な単語が彼女の口から出て来た。
「うん。最近、私達がいつも通る駅の前によくうろついているんだって。見た目は普通なんだけど帽子を目深にかぶってて、その上マスクもしてるから顔が見えないらしいの。」

　パキ、パキンッと、氷が砕ける音が鳴り響く。

　

「冨岡さんっ、しっかりしてください冨岡さんっ！！」

　

　人と鬼と、一千年もの間続いた争いの、最後の決戦。

　そう表して相違無い鬼殺隊と鬼舞辻無惨の総力戦は、予期せぬ形で突如幕を開けた。

　

　上下左右が狂った血鬼術の空間に殆どの鬼殺隊士が放り込まれ、

無限城の、最奥で。

　

『竈門禰豆子！人間化成功！！繰リ返ス！！竈門禰豆子！！人間化成功ッ！！心置オキ無ナク鬼舞辻無惨ヲ討滅セヨ！！』

　

その報告に、鬼舞辻が絶望する。

　

「な、あ―――――――」

　

好機は今しかない。と、弟弟子が駆け抜ける。

　

「ヒノカミ神楽――――――

　ふわりと、車窓から風が頬を撫でる。

　同時に、少し鼻にツンと来る、普段慣れない香りも。

　

「―――」

　

　列車の窓を開けた栗花落カナヲは風と匂い、そして綺麗な太陽に思わず目を細めた。

　車窓から吹く風は強く、列車の速度を物語っている。側頭部で結んだ髪が暴れるのを手で抑えながら彼女は小さく息を吐いた。

1.

「胡蝶しのぶの様子がおかしい？」

「そうなのよ……」

7月9日、同僚である胡蝶カナエから仕事終わりに涙ながらに飲みに誘われ、もとい連行され、聞かされた話がそれだった。

彼女いわく、最近の胡蝶しのぶの様子がおかしいらしい。具体的に聞けば、彼女は以下のように述べた。

「カァ！！死亡!!胡蝶しのぶ死亡!!」

　

『胡蝶しのぶが死んだ』。

　

その知らせを聞いた俺は頭が真っ白になり、幻のように彼女言葉が聞こえてくる。

　

『冨岡さん』　『そんなんだから皆に嫌われるんですよ？』

　

噓だ、噓だ噓だ…!!やめてくれ、お前もそばからいなくなるのか？

　

ある日のことだ。
放課後を迎えたばかりのキメツ学園の職員室には、教職員がそこそこ集まっていた。
これから部活動の指導に赴く者、生徒からの提出物を受け取る物、明日以降の授業の準備をする者、様々である。
「失礼します」
そこに鈴の音のような響きの声と共に、一人の生徒が入室してきた。
高等部三年生の胡蝶しのぶだ。

蟲柱の胡蝶しのぶは薬学に極めて精通しており、その豊富な知識と技術を活かして、鬼殺隊における怪我人の治療にも従事している。
それ故、しのぶの管理する蝶屋敷、そして彼女の仕事部屋には、日頃から実に多くの隊士や使いの者らが現れて、来客の枚挙にいとまがない。
中にはいきなり運ばれてきたりするような者もいて、

「ねぇ伊黒さん、今度の金曜日、ダブルデートしませんか？」
　蜜璃からの誘いに、危うく「断る」と言い掛け、伊黒は口を噤んだ。
　蜜璃と共に出掛ける分には、もちろん、大歓迎だ。不平不満などある訳も無いのだが、ダブルデートという単語には不吉な予感しかなかった。最愛の彼女と共に過ごす貴重な時間に、同行者の存在など不必要極まりなく、

厳しい寒風が吹き込める冬の日であった。
辺り一面が夕闇に染まろうとする中、女子大生・胡蝶しのぶは買い物袋を引っ提げて、かつての恩師である冨岡義勇のもとを訪れた。

「こんばんは、冨岡さん。こんな寒い日ですし、熱燗でもどうですか？」
「帰ってくれ」

アパート部屋の玄関先でしのぶを出迎えた義勇は、

――バササッ。

　頭上から聞こえてきた力強い羽音に、担当地区の見回りをしていた冨岡は足を止めた。
　そのまま無言で立つ冨岡の前に、一羽の鴉が舞い降りる。
　冨岡と目線を合わせる形で滞空飛行するその鴉の足には、白い紙が結んであった。

「カーッ！　俺ノ弟子カラ手紙ダ！！　読ンデヤレ！！」

朝食を食べていると、カナエ姉さんがこう言った。

「しのぶ、ちょっとこの後お使いを頼みたいんだけれど」

少し行儀はよくないけど、一日の予定をこうして二人で確認し合うのがこの家に来てからの姉妹の日課。
煮物を摘もうとした箸をとめて、しのぶは姉の方を見た。
彼女としては片時もカナエ姉さんと離れたくはないが、その姉の頼みとあれば仕方ない。

「しのぶ、ちょっとお話があります」
「は、はい…」

　こう言われたのは久しぶりに姉さんとランチをしている時のことだった。元々仲の良い姉妹だったが、お互いに結婚してからは忙しく今日は久しぶりのランチ会だった。

「でね、実弥くんったら、『もうこれ以上はおはぎは…』って寝言言ってるのよ」
「へぇ、あの不死川先生がねぇ…意外かも…」

鬼の操る血鬼術というやつは実に多彩を極めており、使用者たる鬼の技量一つで単純にも貧弱にもなり得るのだが、中には非常に厄介かつ強力な効果をもたらすものも決して少なくない。
この日、蝶屋敷にて。
鬼殺隊・水柱の冨岡義勇と、同じく蟲柱の胡蝶しのぶが、人目を憚るようにして忍び逢い、ひそやかな声で密談を重ねている。

「義勇さんの好きな食べ物ってなんですか？」

　ある日の任務の帰り道、炭治郎と義勇はたまたま出会い帰路を共にしている。というのも、二人とも目指す場所は蝶屋敷なのである。炭治郎は同期である善逸と伊之助がまだ治療を受けているのでお見舞いに。義勇の方は傷薬の軟膏が無くなったので補充をするために蝶屋敷に向かっていた。

　全てが終わった後だった。

　しのぶが伝令を受け取ったのは、あさぼらけ間近の卯の初刻午前五時。向かうよう指示された場所は直ぐに駆け付けるには距離があり、辿り着いた時には太陽は山の稜線からすっかり顔を出していた。
　しのぶが世話になっている藤の家紋の家がある町から、徒歩かちだとゆうに半刻は掛かるこの辺りは、

東京都のまだ昭和の面影の残る住宅地に、家族で営んでいる小さな老舗パン屋があります。
竃門ベーカリーです。
なんと創業60周年！
主婦ご用達の食パンに、部活帰りの学生の好物焼きそばパンや、ちびっこ大人気のミニクロワッサン。結構繁盛しているんです。
看板メニューは創業当時からあるバターロール。こだわりのバターをたっぷり使った、不動の人気1位のパンです。
そんな竃門ベーカリーに、はじめてのおつかいをする男の子がいます。

半年前…
やよいは中学校から帰る途中だったが、声が聞こえた
やよい「ん？」
？？(ねえ…誰か…私の声を聴いて…)
やよい「誰？誰かいるの？」
？？「もしかして、私の声が聞こえるの？」
やよい「誰！どこにいるの？」
？？「希薩神社よ…」
やよい「あの…神社に…」
やよいは神社に向かい、祠を見ると何かが光っていた
やよい「刀？」
やよいは手に取る

「ありがとうございました……」
「お疲れさまでした!」
途方に暮れた声が自分の口から漏れ出て、カナヲが微笑んでいて、アオイのキビキビした返事があって、訓練場の戸をよれよれと脚がまたぐ。疲れた。薬湯まみれで、ほぼ全身にかけられたそれのせいでそろそろ身体が冷えてきたので、炭治郎は病室ではなく浴場に向かうことにする。

高校生活も残すところあと僅か。
春からは一人暮らしをして大学に通う。それぞれが違う道に進むからこうしてこの学園のみんなと一緒に過ごせるのもあと少しなんだと思うと切なくなる。
とは言っても人見知りの私には友達と呼べるような友達なんてほとんどいないんだけど･･･。
善『ねぇ、カナヲちゃん！卒業式が終わったら一緒に卒業旅行に行かない？』
カ『へっ？？』

珍しく手こずってしまった。
人里離れた村に鬼が出たと報告を受け一人で任務に向かった。いつもならすぐに頸を斬ってしまえるのに逃げ足が速く追いつくのに苦労してしまった。なんとか頸を斬ったという感じだった。
継子なのに情けない。
もっと鍛練しなきゃ･･･なんて考えながら藤の花の家紋が見えてようやくゆっくりできるとホッと胸を撫で下ろした。

竈門兄妹の処遇を巡り一時不穏な空気が流れた柱合会議だったが、鬼殺隊当主によって治められ会議も終わった
それぞれの場へ戻ろうと各柱が散ろうとしたその時
「胡蝶」
鬼殺隊蟲柱、胡蝶しのぶを誰かが呼び止めた
「は〜い、何ですか〜」
しのぶは歩みを止め、いつものように笑みを浮かべながら
「冨岡さん」
声の主、鬼殺隊水柱冨岡義勇の名を呼び振り向いた

「甘露寺！」
柱合会議終了後、柱同士の打ち合わせも終わり解散した後、伊黒は甘露寺の後を追いかけた。
「伊黒さん。」
振り返った甘露寺は笑顔を向けてくれたが、その笑顔が微かに曇っているのを伊黒は見過ごさなかった。出会った時から、伊黒はずっと甘露寺の事を想い続け、見ていたのだ。些細な表情の変化も見逃さない。
「甘露寺・・・。」
しかし、伊黒は言葉に詰まった。

ガハハハハ････
廊下を歩いていると何やら豪快な笑い声と共にものすごい勢いで走る同期の姿を視界の端に捉えた瞬間、障子を蹴り倒して部屋に突っ込んできた。
ア『ちょっと伊之助さん！！』
しばらくしてアオイの怒鳴り声が聞こえてきた。
伊之助はいつもアオイを困らせたり怒らせている。

炭治郎「今日もいい天気だな」
俺の名前は竈門炭治郎、鬼になった妹竈門禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊に入った、鬼殺隊員だ、水の呼吸とヒノカミ神楽の使い手だ。日々鬼と戦い、争いの連鎖を終わらすために戦っている。そんなある日、鬼との戦いで深手を負ってしまい、3ヶ月の間目が覚めなかった。

何も感じなくて自分で何も決められなかった私のために銅貨を投げて、心の声をよく聞くようにと私の手を取ってくれた炭治郎のおかげで私は少しずつ変わり始めた。
心の声はまだそんなに大きくはないのかもしれないけど、いろんな感情が湧いてくるようになった。
決していい感情ばかりではないけど･･･

怪我をおして煉獄家を訪問してから数日。
炭治郎は、胡蝶しのぶから「腹の傷が完全に癒えるまで激しい訓練は禁止！」と、
それはきつくきつく申し渡されていた。
本人としては、もう熱も下がったし若干訓練不足の感が否めないと感じてはいるが、
しのぶに怒られるのはもう勘弁なので、大人しく指示に従っている。

都内の中心地より少し離れたところにある住宅街。高級住宅街として有名なその街の中心にある広大な敷地を要する場所に産屋敷学園がある。
所謂、お金持ち学校である産屋敷学園は、有名人や政治家のご子息ご息女が通っているが、ただのお金持ち学校とは違うのが、幼稚舎、初等部、中等部、高等部に加え、児童養護施設が含まれていることだ。

車窓の外
ふわりと、車窓から風が頬を撫でる。
同時に、少し鼻にツンと来る、普段慣れない香りも。
「―――」
列車の窓を開けた栗花落カナヲは風と匂い、そして綺麗な太陽に思わず目を細めた。
車窓から吹く風は強く、列車の速度を物語っている。側頭部で結んだ髪が暴れるのを手で抑えながら彼女は小さく息を吐いた。

今は大正時代…鬼がいる時代…そしてこれは一人の人間が《本当は死ぬ人を助ける》そういう物語……
「ハァーハァーハァー」
今私は走ってる…とてつもない速度で…とある町で家族が殺されるという事件を解決しに急いでその町に向かっている
「キャーーー!!!」
「ヤバい！？」
「たったすけて…」

「朝早くから申し訳ございません。この辺りで、鱗滝左近次と言う者を見かけませんでしたか？」
「鱗滝だぁ？嬢ちゃん、ワシは結構長くこの地に住んでおるが…その名字は聞いたことがねぇなぁ。あぁでも、この辺では昔から子拐いが多くてなぁ。丁度嬢ちゃん位の年の子供…特に孤児が多いが、天狗に拐われたってェ、よぉく話題に

昔から自分の事が嫌いだった。
高校生だと言うのに身長は151㎝程度と言う小さすぎる体。
すぐに怒る短気な性格。
他にもあるのだが、今はこれだけにしておこう。

姉さんは身長が女性の平均よりも高く、常に私は憧れていた。いつか姉さんよりも大きくなってやるとまで思っていた。しかし、私の体はその思いに背き、全く身長が伸びず、諦めていた。

｢う～ん…どうしようかな～｣
炭治郎は腕を組んで考え事をしながら歩いていた
｢もらうすぐしのぶさんの誕生日だけど、何を贈ろうかな～、去年はネックレスだったし、う～ん…｣

しばらく考えながら歩いていると、花屋の前で立ち止まった

｢そういえば、しのぶさんに花を贈った事って無かったかも｣
炭治郎は今までの贈った物を思い出してみた

炭治郎「貴方は明日の会議にいらっしゃるでしょうか。半分に折り曲げた案内をもう一度見る。」

しのぶ「付き合ってた頃は私たちが手を繋ぎながら歩いた並木道にはたくさんの人が歩いている。」

炭治郎「あぁ。いつも俺がいつも待たせてしまった。蝶屋敷でもう既に居ないあなたを探すけど。」

「「この声が枯れるくらいに貴方に好きと言えばよかった。」」

ここは鬼殺隊で隊士が戦いの中で負った傷を癒す「蝶屋敷」。ここの主は鬼殺隊最高位の隊士“柱”の一人で蟲柱の胡蝶しのぶである。この隊士は、姉である胡蝶カナエを十二鬼月“上弦の弐“童磨によって殺され、己の体を藤の毒で満たし、相打ちを図ろうとした。しかしある隊士の存在が復讐という名の闇に沈んだ彼女の心を照らしたのである。

産屋敷耀哉から手紙を受け取り、冨岡義勇の元に行き、四日間掛かったが、根気強く付きまとった事で漸く義勇から柱稽古に参加しない理由を、その原因となった過去を聞けた。その事で自分がとやかく言えることじゃない。

と思いつつ、だけどどうしても一つだけ聞きたいことがあった。

　

「義勇さんは錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか？」

「知ってる？冨岡くん。世界にはゴリラって言う動物が居て、群を形成して手先が器用で、頭が良くて仲間意識が強くて優しい生き物が居るのよ。」

　

「…そうか」

姉さんと冨岡さんが何か話している。

　

「つまり、胡蝶しのぶはゴリラということか……(薬学に通じて人望も厚い柱の妹ということで首は切れないが強いぴったりだな)」

『………良かった。間に合った。』

　

彼は静かに殺気と怒気を帯びていた。

　

『君、そっち側にいるべきはずじゃないと思うんだけどな。なんで頑なに鬼になろうと思わないわけ？』

　

『……俺の大切な人に手を出した。それだけで理由は十分だ。』

　

きっと大切な人は私のことじゃない。彼にとって全ての人は大切なものなのだから。

『もういっちゃうの？』

　

『うん。指令が来たからね』

　

『もうちょっと、いても……』

　

『また来るよ、だから……泣かないで』

　

『ないて……ないもん』

　

　

　────。

　

　

『えへへ、あたたかい……』

　

『しのぶは本当に撫でられるのが好きだなぁ』

　

『だってきもちいいんだもの……』

「なぜ、きよに黙っていてくれと言ったんですか？」

　突然に診察室に呼び出され、きびしい詰問を受けた。
　たおやかな仮面のように笑うしのぶさんの物腰は柔和だが、怒りの匂いはいつもよりも数千倍も濃い。
　熱が三十八度もあることを、主治医しのぶに黙っていてくれとすみちゃんに頼んだのだが、炭治郎のことが心配で耐えきれず、しのぶに報告してしまったらしい。

12月某日 AM7時30分

｢それじゃあしのぶさんいってきます、夕飯は冷蔵庫に入れておきましたので温めて食べて下さいね｣
｢分かりました、今日も帰りは遅いんですか？｣
｢そうですね、多分22時は過ぎると思います、しのぶさんも帰りが遅い時は連絡してくださいね｣
｢私は今日は早く帰れるから大丈夫ですよ、それよりそろそろ行かないと遅れてしまいますよ｣

ある日、炭治郎は急いで蝶屋敷に戻ってきて、ある人の名前を大声で叫んだ。「しのぶさん！しのぶさん、いらっしゃいますか？！」「炭治郎君、そんな大声を出さなくても私はここですよ」「わっ！しのぶさん、何故俺の後ろに？？」ある人とは胡蝶しのぶだった。しのぶの名前を読んだ炭治郎は、まさか自分の後ろから返事をされるとは思っていなかったので、驚いてしまった。

しのぶ（今日のご飯は何にしましょうか、、炭治郎くんの好きなタラの芽の天ぷらと炭治郎くん、最近少し悩んでそうなのでお酒のすすむ、タコわさにしましょうか♪）炭治郎「ただいま、戻りましたしのぶさん」しのぶ「おかえりなさい炭治郎くん、ご飯にしますか？お風呂にしますか？それともわ・た・し・ですか？」しのぶ（結婚してやっとこのセリフ言えました♪）

この想いも、あなたとの思い出も、いつかはあなたの中から消えてしまうのかもしれない。それでも私は望みます。私のことずっと────

　湖に波一つ立っていないような、静寂に包まれた夜だった。物音が立たなすぎて、むしろ不穏な気配さえ感じ取ってしまうほどに。春の風すらも空間に貼り付けられたようにぴたりと止まっている。

「・・・・・・はあ・・・」雪が溶け始めてはいるが、まだ少し肌寒いし、体内から吐き出される息は白い。しのぶはため息をつく。もう何分こうしていただろうか。風呂上がりであったぽかぽかの身体は今はもう冷えてしまっている。それでも、しのぶはこうして自室の窓から月を眺めていた。「・・・・・・まだ、かしら・・・」

義勇「ま、まさか炭治郎が……」しのぶ（あ、あれは冨岡先生ではありませんか心なしかいつもよりも落ち込んでいますね）しのぶ「冨岡さ〜ん、どうしたんですか冨岡さん？」義勇「炭治郎がまさか、あんなことしてるなんて……あの純粋無垢な炭治郎が……(´・ω・｀)」しのぶ「無視ですか冨岡さん、これだから、みんなに嫌われるんですよ」

　ふう、と吐いた息が、机上の花を少しだけ揺らした。数年前、あの子にもらった種から、私が育てたもの。ちょうどこの季節に花を咲かせる、儚いけれど、とても可愛らしい花。鮮やかな色彩とは反対に、窓の外に広がる曇り空は、私の心を表しているみたい。視線を壁かけのカレンダーに移すと、もやもやがさらに募っていく。

　まだ寒さも厳しい二月も末。雛祭りの季節になると、しのぶはいつも憂鬱になった。カナヲの前ではそんな素振りは決して見せないようにしていたけれども、それでも姉を喪った淋しさは、歳を重ねる毎に色鮮やかに増していくようで、とめどない。
　しのぶの手元には、今は亡きカナエの髪を飾っていた蝶の髪飾りが、静かな光を放っていた。

　胡蝶しのぶは心地良い草原の上で目を覚ました。辺りは陽光が差していて、柔らかい風が頬を撫でる。少し離れた場所には、白く美しい蝶が２羽、互いを呼び合うかのように、ゆらゆらと飛んでいる。

　ここは　どこかしら・・・？

ぼんやりとした頭で、思考を巡らせる。上弦の弐の鬼と対峙していたはずだ。

毎月律儀に月命日に訪れて線香をあげるこの男は、きっと同志であり、戦友であり、弟妹を持つ兄姉として分かり合える数少ないかけがえのない存在だったんだと思う。当時の姉の言葉は、わたしにとって理解し難いものだったけど、今ならそれがわかる。
カナエ姉さん、彼のことを心から愛していたんだね。

昔から幾度となく感じていた違和感があった。
何が？と言えば説明は出来ないのだけど。

「「私の弟/姉さんはこんな子だったかしら？」」

と首を傾げるのは冨岡蔦子と胡蝶しのぶ

冨岡義勇には前世の記憶らしきものがある。
前世と言っても過去の話ではなく、今と同じ時代を刀を手に生き、志半ばで凍てつくように死んだ記憶が。

時は大正。大日本帝国は日露戦争に勝利し、帝国主義の国際情勢の中どうにか安全保障を確立しつつあった。

そんな中、一人の少年が雪深い山中を歩いていた。瀕死状態の少女を背負って。

残酷

――禰豆子だけまだ体に温もりがある。医者に診せれば助かるかもしれない……。なんでこんなことになったんだ。

母親が殺された。弟が殺された。妹が殺された。妹を鬼にされた。あの晩俺が美味しいご飯を食べている時、皆はどれほど恐怖していたのだろう。楽しく話している時、皆はどれほど痛みを味わったのだろう。俺が寝てる間、皆は何度俺に助けを求めたのだろう。

　

俺は救えなかった。けど、全てを失った訳じゃない。

「カナヲ～！ 炭治郎さん来たよぅ！」

・玄関からアオイの呼ぶ声がして、

「はーい！」

・カナヲの明るい声が答えた。

・あの戦いから半年。

・未いまだゆっくり振り返る気持ちの余裕は、カナヲにはない気がしていた。それでも、日々は弛たゆみなく過ぎていく。

『そろそろ、一歩を踏み出してもいい頃なのかな…』

少女拾いました。

────ぷつん。

　

と、音がして。

何も感じなくなった。

何もかもがどうでもよくなった。

　

お腹がすいた。辛い。

頬をぶたれた。痛い。

首を絞められた。苦しい。

誰も助けてくれない。寂しい。

また一人兄弟が死んだ。悲しい。

重い荷に苦しんでいる人がいれば、半分背負ってあげなさい。

悩んでいる人がいれば、一緒に知恵を絞ってあげなさい。

悲しんでいる人がいれば、その心に寄り添ってあげなさい。

　

　

生前の父の教えを守り、万人に優しく在ろうとした。優しく在りたかった。根っからの善人であった、父や母のように。

『もういっちゃうの？』

　

『うん。指令が来たからね』

　

『もうちょっと、いても……』

　

『また来るよ、だから……泣かないで』

　

『ないて……ないもん』

　

　

　────。

　

　

『えへへ、あたたかい……』

　

『しのぶは本当に撫でられるのが好きだなぁ』

歓声が聞こえる。

長く続く闇から遂に救われたという歓喜と、そしてそれを為してくれた存在への感謝と謝罪。

聞こえる声は老若男女関係なく、やむ気配もなく続いている。

それに包まれている彼らの顔のなんと晴れやかなことか。

『鬼』が魔の者の手から『人』を救い、『人』は感謝と共に『鬼』を自分たちなりのやり方で助ける。

当時、柱は義勇を含め六人いた。

　内一人は、水柱が誕生した後引退し、一人は、籍だけ置いたまま姿を見せなかった。実質四人という、厳しさだった。

　担当する警備地区は今より二倍あって、休む間もなかった。

　柱達は、柱合会議以外にもなるべく顔を合わせ、任務で東京を離れる時には、警備地区に穴が空かないように、よく調整したものだ。

「胡蝶しのぶの様子がおかしい？」

「そうなのよ……」

7月9日、同僚である胡蝶カナエから仕事終わりに涙ながらに飲みに誘われ、もとい連行され、聞かされた話がそれだった。

彼女いわく、最近の胡蝶しのぶの様子がおかしいらしい。具体的に聞けば、彼女は以下のように述べた。

　棒口紅が出回るようになって、昔ながらの紅入れは随分と減ったらしい。
　柱合会議が始まる少し前に、顔色の悪さを隠すためにだろう、胡蝶しのぶが人目のないところで藤の花の模様があしらわれた紅入れを取り出して、指先につけたそれを頬にとんとんとやってほがしながら伸ばしているのを見たことがあった。

雲取山に住む、炭焼きの夫婦の元に第一子が生まれた。
元気な女の子であった。
夫婦は喜んだが、産婆は驚いていた。
その赤子の額には濃くて大きな痣があったからだ。
痣だけでなくて赫勺の髪に瞳と珍しかった。

鬼の頸を恐ろしいほどの速さと正確さで斬った炭十郎は、刃それ自体が輝くように白い自身の日輪刀を鞘に納めた。
気のせいかもしれないが近頃相対する鬼の数も強さも増しているように思い、炭十郎はひっそりと眉根を寄せる。
何か……何か得体の知れない嫌な予感がしてならない。
容易に消えてはくれない胸騒ぎに小さく息を吐き、光明を求めるように月を見上げた炭十郎だったが、それより早く夜空に響く羽ばたきの音が聞こえた。目をすがめ、音のする方へ首をめぐらせた。

もう朝か。そう今日も何度目になるか分からない呟きを口から吐いた。
そしてその眼にはわずかに涙の跡があった。。。「たんじろおぉぉぉ！」

「うわ、どうした善逸？」

「今回の任務で絶対もうおれしんじゃうようぅぅぅたんじろうぅぅぅぅぅｌ！！！」

「大丈夫だ善逸なら。善逸が強いの俺は知ってるぞ。なのにどうして善逸はそうやって恥をさらすんだ？」

「え？炭治郎酷いようぅぅぅ」

「それで今回の任務はどこ行くの鳴柱さん？」

「その呼び方やめろよぉぉぉぉぉ！！それが今回の任務が…」

　義「来月、米花町にある、帝丹高校と交流会を行う。」

　生「「「「えーーーーーーーーーーー！」」」」

今日、ホームルームで米花町にある、帝丹高校と、交流会を行うことを知った。
交流会は、この学校で行うそうだ。

しのぶは大怪我をしていて木にもたれ掛かり、もう自分は死ぬんだと目を閉じて死を覚悟した。目の前にいた鬼は上弦の壱と目に刻まれた鬼だった。

しのぶ（ここで死ぬんでしょうか、ごめんなさい姉さん、みんな）

目を閉じて衝撃を待っていたが中々来ず、薄ら目を開けるとそこには耳に太陽のような耳飾りをつけ市松模様の羽織を着た少年が来た。

炭治郎「すみません、遅くなりました。あとは俺が殺るのでこれを着て待ってください」

炭治郎は彼女に羽織を着せ鬼の前に立った。明らかにしのぶよりも年下であったが頼もしい背中だった。

炭治郎「ここからは俺が相手だ上弦の壱」

朝起きたら、ぐらりと視界が揺れて頭痛がした。でも、大したことじゃないと思い、特に気にしなかった。着替えを済ませて、居間に向かう。いつも「おはよう」と声をかけてくれる師範が、今日は居なかった。
(そういえば今日、柱合会議があるって言ってたっけ…。)
昨日の夜、朝早く出かけると言われたことを思い出した。
師範が用意していってくれた朝食を食べる。でも、食欲がなくて、全然食べられなかった。
風邪でも引いたかなと考えながらも稽古や任務を休む気にもならなくて食器を片付けた後、いつも通り離れの道場に行き、素振りを始める。
けど、やっぱりいつもより動きが鈍い。体が鉛のように重たくなっていくのがわかる。

多くの犠牲を払った激闘の末に、鬼殺隊は鬼舞辻無惨を討ち果たしたはずだった。
だが最後の足掻きのように炭治郎が鬼化されてしまい、残りの隊士達は絶望に襲われてしまうことに。
一方、その炭治郎は己の中で無惨（残り粕）と相対するのだった。

「いいかい、炭治郎……呼吸だ。息を整えて――ヒ・ノ・カ・ミ・様・になりきるんだ」

　父さんがそう言っていたのを、覚えている。

「息の仕方があるんだよ。どれだけ動いても、疲れない息の仕方」

　父さんは身体が弱いのに、なぜヒノカミ神楽を踊れるのか聞いた時。

　そう答えたのを、覚えている。

「炭治郎。この神楽と耳飾りだけは必ず、途切れさせず継承していってくれ――約束なんだ」

　何の約束なのか、聞けなかった。

ある日夜中に、カラスが慌てた様子で、炭治郎は、急いで準備をし、鬼がでた所へ行き、戦っていたが、突然、炭治郎は姿を消した！

時は大正時代。
　夜は鬼が蔓延り、常に鬼狩りたちが駆け回る世界。
　そこにはどういうわけか、世界のイレギュラー要素として入り込んでしまった少女がいた。
　少女の名前は竈門優緋。
　本来ならば、普通の高校生として学校生活を送り、なんの変哲もない人生を歩むはずだった彼女は、いつのまにか竈門家の一番上の姉という立場として、鬼になってしまった禰豆子と、なぜか本来ならば主人公として刀を持つはずだった鬼化した炭治郎を引き連れて、鬼滅の物語を辿っていく。
　彼女が送る生活、彼女が紡ぐ物語とは……。

前略、私、鬼になってしまったようです。

私自身、鬼になるまでは大正時代の中流階級で普通に生活していました。少し違う点と言えば、東京の中でも田舎方面に実家があり、かつ我が家が結構な土地を所有している地主にあたる家庭だった事くらいでしょうか。

　

はーー、例え、田園風景が広がっていようとも、鬼の頭領鬼舞辻無惨の本拠地。

まさか、女学校からの帰り道で無惨の気まぐれから鬼にされてしまうとは。

　

ん？なぜ、鬼にされたのにこんなに冷静なのかって？

それについて話すとなると鬼化までの時間まで遡る。

「じゃあ、行ってくるな！」

　

赤みがかった瞳と髪、左額には火傷の跡があり、耳に花札のような耳飾りを付けた少年はそう明るく言った。彼は、竈門炭治郎という。

　

「行ってらっしゃい、お兄ちゃん。」

　

長い髪を纏めて、桜色の着物を着た少女は言った。彼女は竈門禰豆子という。

　

彼らは兄弟だ。家では大好きな母や弟達が手を振り、見送ってくれた。

彼らの家には父はいない。病死してしまったのだ。だから今、この家の大黒柱は炭治郎だ。

「やあ、日柱様。今日は月が綺麗だね」
静かな森の中に、男の声が響く。
その向かい側には、険しい顔つきの男が一人。
「もー、そんな顔しないでよ。せっかくの綺麗な顔が台無しだ」
そう言うと、男はニコッと笑った。細められた目には“上弦弐”と刻まれている。
「俺はお前と話す気はないが、童磨」
「まあ、そう言うなって。俺は炭治郎に会えて嬉しいんだぜ？少しぐらい話してもいいじゃないか」
屈託なく笑うその顔は、優しげにも、薄情にも見える。

気がつけば日の射さない何処かの森の中に立っていた。なぜこのような場所に立っていたかが思い出せない。

　俺が覚えているのはアスファルトで舗装された地面がある場所にいた筈で、こんな土だらけで自然豊かな地面があるこんな場所は見覚えがない。

　

　それにしても、突然見覚えの全く無い夜の森に投げ出されて不安にならない現代人がいるだろうか？　いや、探せば数人ぐらいはいるだろうが、俺は残念ながらその数人の内には入らない。

　

部隊は無限城。攫われた炭治郎は、無惨に血を注がれてしまう。
鬼に変化していくなかで、炭治郎の記憶がゆっくりと喰い尽くされようとしていた。